逆援助してでも手放したくない男

三条から五条大橋まで歩いた。酔い醒ましのつもりだったけれど、思ったよりも夜風が冷たい。鴨川に近づくとさらに風がきつくなったように感じた。
Tと会うのはこれで3度目。初恋の人にドキッとするほどよく似ていて、もしかしたら彼の息子なんじゃないかと思うくらい。年齢的に計算が合わないからただの他人の空似なんだってわかってる。
Tがクラブのアルバイト面接にきたのが2週間前。私が対応して即採用した。好きな顔がそばにあるだけでドキドキすると思った。Tは軽いところがあって、私の誘いにすぐに乗ってきた。見抜かれているのかもしれないと思った。
初めてふたりきりでご飯に行った帰りに男女の関係になった。エネルギーが全身からみなぎっていた。私はTの若い肉体に溺れてしまうのを必死に隠した。
Tから逆援助交際を申し込まれたのは、次に体を重ねた直後だった。
金銭的に苦しいこと、学費もままならない。アルバイトは続けるけれど、それだけじゃ足りないことを告白され私からの逆援助を求めてきた。思いもしなかった提案に私は少し考えさせてほしいと答えた。金づるにされるのがオチだと思った。
五条大橋を渡りきったところでTのほうを振り返った。顔を赤くしているのがなんともいえずかわいらしい。Tを手放すなんて考えられない。彼1人養うのは造作もない。これでも一応オーナーとして成功しているだから。Tはヒモは嫌だと言った。感じ方の違いだが、彼のいうことももっともなので、Tの将来への投資という形で、逆援助交際を受け入れることにした。

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